てっぺんで!
2008年 11月 10日
11・11
暗いうちに第三キャンプをでる。先発隊は我ら3人と、シェルパ頭とシェルパの計5人。明るくなりかけたころ、岩壁帯につく。勢いこんで先頭に固定ザイルにとりつく。はじめて酸素マスクをつけたし、まだ今日の調子にならないので、かえって息苦しいくらい邪魔だ。もたついて、少しあせったが、ここだけだった。
ちようどいい広大な雪の斜面を、肩をめざしてシェルパ頭とならんで登っていく。いつのまにか彼を置き去りにして、先にきてしまう。酸素の威力で、平地と変わらないのだから、これはやはり違反だ。
小石のバラバラとした肩を越えると、あとは緩い傾斜で頂上雪原が見わたすかぎり広がっていて、ただひたすら高い所高い所と、計りながらいくだけとなる。もう周りにだれもみえない。こんなことがあるんだろうか、独り占めなのだ。申し分のない、無風快晴の朝、別世界の気圏のなかを、ただ足跡をたどって、歩をすすめる、味わうようにして。
すると向こうに、彼方の山の頭だけが覗いてくる。むろん覚えなれたエベレストだ。歩くごとに山塊が全像を現してくる、眼はそっちばかりを追って、足下がおろそかになるが、ここは平らなんだからいい。そしてもう高いところがなくなり、そこらあたりが頂上だと、自分で決めるだけ。
すぐさま、ポケットをさぐり、用意のスケッチブックをとりだす。眼に焼きつけるようにして、光輝くエベレストらを描きだす。色は残念ながらつけられない、凍るから。欲がでて、後ろをふりむいて、シシャパンマも描く。これにはもう、きりがない。
そのころ、出来たばかりのロシア国旗をもった二人があがってきた。挨拶をかわす。そのあとから、わがシェルパ頭がきて握手し、あとは決まりの儀式になる。急に空気が俗界にちかづく。それでも、眼は周囲の世界の屋根たちに釘づけのままだ。あとは上の空。その気分のまま、小一時間もいて、下りにかかった。
暗いうちに第三キャンプをでる。先発隊は我ら3人と、シェルパ頭とシェルパの計5人。明るくなりかけたころ、岩壁帯につく。勢いこんで先頭に固定ザイルにとりつく。はじめて酸素マスクをつけたし、まだ今日の調子にならないので、かえって息苦しいくらい邪魔だ。もたついて、少しあせったが、ここだけだった。
ちようどいい広大な雪の斜面を、肩をめざしてシェルパ頭とならんで登っていく。いつのまにか彼を置き去りにして、先にきてしまう。酸素の威力で、平地と変わらないのだから、これはやはり違反だ。
小石のバラバラとした肩を越えると、あとは緩い傾斜で頂上雪原が見わたすかぎり広がっていて、ただひたすら高い所高い所と、計りながらいくだけとなる。もう周りにだれもみえない。こんなことがあるんだろうか、独り占めなのだ。申し分のない、無風快晴の朝、別世界の気圏のなかを、ただ足跡をたどって、歩をすすめる、味わうようにして。
すると向こうに、彼方の山の頭だけが覗いてくる。むろん覚えなれたエベレストだ。歩くごとに山塊が全像を現してくる、眼はそっちばかりを追って、足下がおろそかになるが、ここは平らなんだからいい。そしてもう高いところがなくなり、そこらあたりが頂上だと、自分で決めるだけ。
すぐさま、ポケットをさぐり、用意のスケッチブックをとりだす。眼に焼きつけるようにして、光輝くエベレストらを描きだす。色は残念ながらつけられない、凍るから。欲がでて、後ろをふりむいて、シシャパンマも描く。これにはもう、きりがない。
そのころ、出来たばかりのロシア国旗をもった二人があがってきた。挨拶をかわす。そのあとから、わがシェルパ頭がきて握手し、あとは決まりの儀式になる。急に空気が俗界にちかづく。それでも、眼は周囲の世界の屋根たちに釘づけのままだ。あとは上の空。その気分のまま、小一時間もいて、下りにかかった。
by aocima
| 2008-11-10 20:49
| ヒマラヤ